2010.11.03【アウトレット】
陶器市2010秋 |
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秋の陶器市 2010(11月3日~7日)
晴れの特異日の3日しかも初日とあって、おかげさまで沢山の人出で賑わいました。 私は通勤(?)に1時間もかかったのは初めてで、車を置いてテントの近くまで歩いて いつも通り、何十年もご夫婦で作陶している大先輩に半年ぶりにお会いして 「いや~やっと辿り着きました」などと話したら「もっと早く出てこなくちゃダメだよ」と 言われてしまいました。その通りで、いつも遅いです。 テントに着いて、ぐるりと覆っていたシートを持ち上げていたら、 年配のご夫婦が「こうするの?」と手伝ってくれて…手が汚れるのに…恐縮してしまいました。 「開いてなかった」というお客さんもいて、朝から反省でした。 言い訳すると、窯焚きで徹夜、テント張り、設営・搬入・セッティング…足りない…また選んで コンテナにつめて運んで24時。帰宅後、しおりの準備(時間がないので春のまま)をしたり… 一時的な店舗でも、やることだらけ。それでも、みんなスイスイ終わらせている。 私は、スイスイ行かない…とろいのかなぁ。
「割ってしまったから買ってきてと頼まれた」というお客さんがマグカップを選んで 「小さいご飯茶碗ある?」「お花のならありますけど、まだ出してなくて、ごめんなさい…」 5人分求められたのですが丁度いいのが3個しかなくて…2人はまだ赤ちゃんだから、 もう少し大きくなってからでもいいから…と救いの言葉をかけてくださり慈愛ある方でした。 「子どもにもちゃんとした(プラスチックではなく)器でご飯を食べさせたい。」と 私たち作り手が泣いて喜ぶことをおっしゃってくれました。嬉しいですね。
もうひとつ陶器市極小物語。 トイレから戻ると外国の方が足付きの変な器(私は気に入ってる。今回は2個だけ。 このお客さまでおしまい)を手に店の人を探してる。 英語はからきしダメな私、これは困ったぞ…「日本語わかりますか?」「はい、わかります。」と きれいな日本語。良かったぁ…心の中で英会話も勉強しないとダメだなぁ。 インドの方で日本に7年住んでいるそうで「東京から来ました。私も陶芸をやってます。」 プロか…趣味でやっているという知的美人、帰りしな入り口のコーナーを指差して 「どれもきれいで素晴らしいです。」とニッコリしてくれたのは嬉しかったです。 国境はないと大袈裟に喜んでしまいました。 私のところは外国の方は…2人目(2005年からで)です。沢山みえるテントもあるようです。
まだまだ極小物語が沢山あり、反省も多かったけれど、いい一日でした。(3日夜)
4日も晴れて陶器市日和でした。平日なので朝、駐車場まで10分弱で着き、 いつもお会いする焼き物の先輩に「やけに早いじゃない。今日はゆっくりでいいのに…」 と言われ「ほんとに、ピントがずれてますよね」と朝から笑ってしまいました。 昨日とは雲泥の差の人で、お客さんも秋晴れの中、のんびり歩けて良かったと思います。 口あけは、この春に初めてドットシリーズのご飯茶碗(ご飯茶碗として作ったのではなかった のですが、柄を見てもらうために伏せて置くと、ご飯茶碗としか見てくれないので そう呼ぶようになりました。デビューはカラフル・ドット・ポウルという名称でフリーカップでした) それを購入してくれた熟年男性で、今回は奥さまとお嬢さまを伴って見えて 「割った人が購入するルールなの」と奥さま。3人の楽しげな様子がとてもほほえましく 多くの人に、家族を誘って陶器市に来て楽しんでほしいなぁと思いました。
午後は、「覚えてますか?」と現れた女性に感激でした。 顔をじっと見て「???すいません何を買ってくれたんでしたっけ…」 「500人目のお客さまですよ」「え~っ、どうしてそんなにキレイになっちゃったの? 結婚したの?ちがうね…子どもがいるんだから…いゃ~…ホントに…どうしたの…」と滅茶苦茶。 すいていたので色々お話できて良かったです。お客さまが待っているので「また来ますから」と 帰って行かれた後、待っていたお客さまに春と秋の○○人目のお客さまのイベントの話をして、 来春は「2000人目のお客さま」なので、もしかしたら当たるかもしれませんねと話し、 「そうね、当たるように狙って来ます」とニッコリ。この方も穏やかな感じの優しげな女性でした。 なんだかほ~っとする午後でした。
4日の夜はコタツで眠ってしまい、書いているのが5日なので、昨日のことか今日のことか一瞬 分からなくなりましたが昨日のこと。上記の女性とは対照的に賑やか集団が現れました。 以前に少しの期間、水墨画教室に通っていたのですが、同期入室とでも言うのでしょうか 一緒に始めた女性が同級生の仲良しを伴って「来たよ~」「さぁ、みんな買ってやって… 娘だからね。」「○○ちゃんは年金まだもらってないから、いいよ」「あら、○○ちゃんも買ってくれたの」 「このくらい買えるわよ」「儲かった分よこしなさい」「はぁ~親だから回収ですか」 毎回来てくれて、親子ほど年が離れているわけではないのに、人には「娘だから…」と 応援してくれていることがひしひしと伝わり、熱いものがこみ上げてきます。 他にも沢山の物語がありました。多くの人に支えられ励まされ、 何とか作り続けることができています。感謝してもしきれない。
5日も平日で静か。朝は、6分で駐車場に着きました。 明日は人出があるだろうから、いいかげんお花のご飯茶碗を出そうと整理していたら 「こんにちは!」見上げてみれば、ピンクが好きで、ドット・シリーズを沢山持っている 若妻(全然妻らしくない)が「これを買いに来ました」広げてあるピンクのお花の… 「エッ!」「ご飯茶碗を買いに来ました」「タイミング良すぎるんじゃないの?」「ホントです」 「ホントに、お花のご飯茶碗を買いに来ました」ムキになって言うカワイイ女性です。 「つながってるんじゃないの?」春に見えないからどうしたかなぁと思ってたと言ったら 「忘れてました」とあっけらかんとしてる。そうだよなぁ、私たちは忘れようもないけど お客さんは忘れてるよなぁと今更ながら思い、ご案内の意味が解りました。 陶器市の案内を出したことがなかったけれど、彼女のおかげで必要性を知りました。 来春から、ご案内を差し上げようと思います。といっても、住所を知っているのは 品物等を送るために聞いたりしたお客さまくらいで、10人もいるかどうか… 今回から住所を記入していただく用紙を準備しましたので、よかったら記入してくださいね。 彼女はお客さま用も求め、新しい花シリーズを見せると、片口しか残ってなかったですが 「湯ざましでしたっけ、あれによさそう。使ったことはないけれど使ってみます。」と やはりピンクを選んで行きました。素直にまっすく育った女性という印象の彼女は お母さんになっても、あのままだろうなぁと思い、子どもにもピンクの器を使わせるかな… その子は私の器が好きかなぁ…いろいろ想像してしまいました。楽しい想像です。
今日はもう一話、ラベンダー色のお花のマグカップとご飯茶碗を少し悩んで求められた 熟年女性。どうも何度か来てくれているようなのだけど思い出せない。 一万円札を出されて、おつりのやりとりでボンヤリがあって、お互いに「ごめんなさい」の 応酬。最後に、これで顔を覚えてくれるわねと二人の女性がニコニコしてる。 多分、大丈夫だと思うけど…昨日のことか今日のことかも怪しいこの頃…半年後は どうでしょう。もしも……の時はゴメンナサイ。 (6日 2時)

6日の朝、あれっ!と思うくらい道がすいてる。8分で駐車場到着。ガラガラ…出足が遅い? 昨夜運んでおいたものにサンドペーパーをかけていると、入り口で「すごい色ですねぇ」と 男性が何か携帯電話みたいのを持って喋ってる。「どんな色でも出せますか?」 釉薬の色…のようなことを言っていた?よくわからないけど。 釉薬の色ではなくて、色泥で絵付けをしているので、泥の色だと話したら泥の説明をしてくれと。 放送してますから、分かりやすく…と小声で言ったような…何なの?カメラがないからラジオ? ラジオファンなので聞いたような声だとは思ったけれど、某ラジオ?いきなり聞かれても 話下手の私には無理ってもんでしょ。単純な粘土の泥ではなく、化粧泥という白い泥。 白化粧土というのが正しい言い方なのかもしれないけど、私の周辺では泥と言っている。 カップの内側がよく白くなっているアレ。塗るのかと聞くので、柄杓でかけたり、塗ったり… 人によって原料・配合が異なる。私はカオリン、蛙目粘土、天草陶石(全て粉末で売ってる)で 白い化粧泥を作り、盛り上がった絵付けをしたいので、そのままで濃くするとビリビリに ヒビが入るから、器を作っている粘土を乾燥させてすり鉢ですり、フルイを通して混ぜている。 器との定着率も高くなるので、普通の化粧泥より剥がれにくい。色は顔料でつける。 顔料の量を3%とか5パーセントというように調節して濃度を決める。 「濃度はカンですか?」と聞かれ、計ってやる。3パーセントだと薄いとか濃いとか 焼いてみないとわからない。泥の濃度はカン。濃すぎると、この色泥でもヒビが入る。 色の濃度なのか、泥の濃度なのか、どの濃度を聞かれたのか…泥の濃度でも 白化粧する時の泥で、柄杓掛けなら比重計で濃度は計れるけれど目安でしかない。 刷毛塗り用の濃度は、濃いので計ることはできないので、全くのカン。 私のは、全て素焼き前にする作業なので、素焼き後にする白化粧については 経験がないから分からない。原料・配合が異なるらしい。 とこれだけ言えば説明になっただろうけど、半分もできていないでしょう。 私は、口で吹く霧吹きも使っているし、刷毛塗りで色と白の二重塗りもしているし、 それぞれ濃度が違う…そんなに簡単に説明できるほど単純じゃないのに、話下手。 参りました。聞いていた人が誤解しなければいいのだけれど…と後で思いました。 それにしても、あれは何だったのでしょう。
今日は予想に反して混みあわなかったように感じました。駐車場は一杯で止められない。と お客さまが話してましたが、何時頃だったか…午後の話じゃなかったかしら…とにかく もう頭がボーッとしてる(いつもかもしれない)ので、一日中ボンヤリ…動いてはいましたが。 面白いカップル(夫婦)と出会えたので、小話に書こうか…と思ってましたが疲れて限界。 明日の最終日に、また楽しい出会いがあることを期待して、今夜はおしまい。 (6日 23時)
7日も朝の通勤はスイスイでした。昼頃はかなりの人出になっていたようでした。 私は広場の奥のスペースなので、通りに面したテントとは違って静かにマイペース。 今日は小さい子が目に付く日でした。今の子って何であんなに可愛いんでしょうね。 目が違うんですよね。クリっとしてまつ毛が長くて…私が子どもの頃は珍しかった。 そんな中、福島から親子でみえた小3の男の子。勉強は好きじゃないけど行事が好き。 サッカーをしたいけど、習っている合気道との両立が難しいんじゃないかとお母さんが 心配している。この子は団体競技より個人競技の方が向いていると思う…目標を立てたら まっしぐらに進む子どもさんらしい。優勝するぞ!ときめたら一生懸命練習して優勝する。 私も、話を聞いていて個人競技が向いているお子さんのように感じたけれど、子どもには 通じない。サッカーしたい…今はその思いが強そう。合気道の話も楽しそうにする… 両立できれば一番いいのですけどね。そのうちどっちかに傾くような気もするけれど。 学童保育の待機児童が多くて3年生は卒業なのだそうで…子ども給付金より大事かも… と子どものいない私にはよくわかりませんが、そう思いました。 とても礼儀正しい子で帰りに「さようなら」とあいさつして、さらに数歩進んで振り向いて 「バイバイ」やっぱり子どもだ…かわいいですね。サッカーでも合気道でも何でもいいから ひとつ夢中になれるものに向かって一生懸命取り組んでステキな青年になってほしいです。
今日は極小物語が沢山あったけれど、疲れちゃって…もう一つでおしまい。 最終日なので4時頃には片付けが始まって、何時頃でしょうかお客さまが2組あり 1組はいつも来てくれる地元の方で、もう1人が忘れられない方でした。 昨秋、やはり片付けをしている時にみえて「ねじねじの花瓶」を求められた若い男性。 私がとても気に入っていた花瓶なのですが最終日まで誰にも連れて行かれることなく しまわれるのを待っていた時に、こんなに若い人が…嬉しかったです。 その方が今回は、2日前に出した50cm位の長皿と小鉢を選んで「お願いします」と 会計の前に立った時、もしかしたら…と聞くと、やっぱりそうで嬉しいの何の…。 再びお会いできた嬉しさもさることながら、今回の長皿も私はいいと思うんだけどなぁ 何で誰も連れて帰らないのかなぁ…と思っていたので、不思議な縁に感激でした。 どちらも思い入れが強いというか、ちょっとしたチャレンジをしたものなので どんな人が持って帰るんだろう…と期待を込めて見守っていたから嬉しさが違うのです。 今回は「ねじねじの花瓶」はないのですかと聞かれましたが、そういう質問も嬉しい。 また、来年も来ますからと言ってくれました。また遅い時間になるかもしれません。 多分お仕事の関係でその時間になるのではないかと勝手に想像しています。 最終日の最後の最後に嬉しい再会ができました。ありがとうございました。
短いようで長かった(長いと感じたのは今回が初めてです)陶器市も無事に終えることが できました。こんなに疲れたことはありません。多分窯焚きが遅くにズレたのがいけなかった。 でも、お天気にも恵まれてステキな日々でした。また、お会いできることを楽しみに 半年間、頑張って作陶しますので、みなさんも、お元気でお過ごしくださいね。 ありがとうございました。 (8日 2時)
追記 使用後、スグに洗わずに汚れがこびりついて落ちにくくなったものは 無理にゴシゴシ洗わずに水(お湯の方が早いです)に5分~10分位浸けて置くと 軽くこすっただけでキレイに落ちますので、やってみてください。とお話ししましたが この時、汚れた水だと汚れや臭いが沁みこみますから(釉薬のかかっていない底から) きれいな水に浸けてくださいね。 それから、スポンジ等より100円ショップで売っている、お風呂のナイロンタオルを 半分に切って、適当な大きさに折りたたんで、ざっと縫って洗い布を作るといいですよ。 カップの底などキレイに洗えます。少し手間ですが良かったらやってみてください。 洗った後は、よく乾かしてくださいね。 もうひとつ 購入後、米の研ぎ汁で煮沸するのは、やめてください。 以前(2006年春の陶器市)しおりに、貫入が入っている器は米の研ぎ汁で煮沸すると 汚れが沁み込にくくなるようですと書きましたが、2年目の春で経験不足でした。 土鍋はそうですが、普通の器はカビが出る原因になるので、止した方がいいようです。 毎日使うものなら発生する暇がないので大丈夫かもしれませんが…。 一般家庭では完全に乾燥し、その状態を維持することは難しいので、お願いします。 特に何も説明しなかったものは、ごく普通に(洗った後はよく乾かす)使ってください。 私のテントで購入した方へのお願いです。ご迷惑をおかけしたかもしれません。 苦情・質問は遠慮なくお寄せください。よろしくお願いします。 (8日 13時)
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